凪背中透明な手が肩をひく  吸引袋骸骨ひいた

 

 凪背中透明な手が肩をひく

 吸引袋骸骨ひいた

 

 一瞬のことだ。空気が流れる間にわずかな空白が存在する。まるで強烈な砂嵐で視界が悪い中、ほんの一瞬曇りが晴れて、数キロ先のオアシスが目に入るような霧の晴れ方で、運命の作り手が見えることがある。

 それはいつだってほんの一瞬しか見えない。蛇口から落ちる水滴に写って落ちては消える。時計の針と針が動くほんのわずかな間にだけ垣間見える世界の裏側に彼は潜んでいる。フードを目深にかぶり、口角をわずかにあげて、その手にもった袋の口をこちらへ向けて開くのだ。

 袋の中には一言「闇」と書かれている。風が吹いてその姿は見えなくなる。

 それでも目に見えない透明な空間と空間の狭間に、そいつはいつでも立っていて「お前は間違っているよ」と嬉しそうに笑っているのだ。

 時計の針が零へと向かう。

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