切っ先の膨らむ棒をさすろうと  ピンセットかと思い引く白

 

 切っ先の膨らむ棒をさすろうと

 ピンセットかと思い引く白

 

 そこはおよそ二畳ほどのスペースの部屋だった。オペ台のようなベッドに黒張りのシーツ。入ってすぐの右側にシャワールームがある。逆L字に折れ曲がった部屋の形に、ちょうど寝そべった足下にテレビモニターが天井から吊り下げられていた。

 看板だけは小綺麗にしてあるが、途中の階段は飲食店の裏口を思い出すくらい汚れていた。細く急な階段の踊り場には数年分といわんばかりの量のシーツが積み重ねられている。階段を上って非常口はコチラを逆から侵入すると目の前に扉があった。通路は右に伸びていたが、用があるのはこの正面の部屋だ。

 トントン、と扉を叩き、返事を待たずに扉を開けた。部屋の中の音など外へは聞こえない。入ってよいか、ではなく、入るよ、の意味だ。

 それが初めてだった。

 前回のあまりにも忌々しい記憶はもう心の底の汚泥になじみ、原型をとどめてはいない。だから浮かんだ笑みには、あまり不自然な様子はなかったと思う。

「よろしくお願いします」

 寝そべった姿に、私はすぐさま荷物を置いて準備した。

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