幸せと騙すことしか幸せの  条件だよと神が微笑む

 

 幸せと騙すことしか幸せの

 条件だよと神が微笑む

 

 腰をロープで縛られて、、暗がりの部屋に浮かび上がるように設置されているモニターの映像をじっと見つめ続けていた。モニターには水色の背景にそれよりもさらに薄く青い線が波打つようにうねっていたが、それが時折ぴょこんと跳ねる。

 それを見ては胸がわずかに高鳴るのを感じていた。口は食事を与えられるかのように開かれては閉じ、目は虚ろな光を宿しながら、青い線が跳ねたときだけ恍惚と蕩けるような形に歪む。

 男はもう三十年間このままだった。

 人類は進化して、食事も運動も必要なくなり、こうしてただ立っているだけの状態で生き続けることが可能となった。遙かに進化した文明の中で、男はロープで縛られたまま立ち続け、目の前で時折はねる青い線を見ては四季折々な表情を見せるのだった。

 どうやら神様的には、それだけでいいらしく脳が解明された暁には人間の人生からはあらゆる余分なものが省かれ、これだけが残った。それはまるで洗脳された哀れな人間のようにも見えたが、男にとっては極上の人生だった。

 本当にこれでいいらしい。

 男は時折跳ねる線を見ていた。

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