幾重にも張られた網は血を吸って  這いつくばって命が溶ける

 

幾重にも張られた網は血を吸って

這いつくばって命が溶ける

 

 一歩でも部屋から出たら、そこから先はブラックホールでもあるかのように無へと意識が遠のいていく。次に戻ってこれるのはいつになろうか。その引力は病んでいた。

 助かろうとしているのだ。溺れて水面を叩くように暴れては、跳ねる水滴に涙と嗚咽が混ざっている。置いておけないことは明白だった。

 それでもこのままでは私自身もその中へ、落ちていってしまう。差しのばされた手が、目の前で海のもずくへ変わっては、無情もいいところ。落ちるわけにはいかぬ。

 踏みとどまろう。

 命が溶けたとしても。

 熱をもってまた形を為せば、やり直せるのだから。

 今は踏みとどまろう。

 たとえ命が溶けたとしても。

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