投げ捨てた 命を拾う 本の虫  世界を知って 生きようとした

 

 投げ捨てた 命を拾う 本の虫

 世界を知って 生きようとした

 

 紙の乾いた感触が指先を撫でて、自由な世界に一定の時間的拘束を以て、限定された世界を届け始めた。あなたには今、二つの世界が存在している。活字の向こうに広がる世界は、二次元よりももっと平らでなんの多角的な観点も与えないように思えるが、それは耳や目を塞がれたのと同じこと。ただ感じないだけで、平らな文字が連なり重なった本の先には、本の虫でもたどりきれない、無限の宇宙へ繋がっているのだ。人が人である限り、その現実からは逃れられない。

 その宇宙に命を救われた。

 知れば知るほど、価値が出て、死ぬときにそれはすべて地面に散らばり落ちるパチンコ玉のように霧散していくことを知ってはいるのだが、純粋な好奇心を満たすことで心にガソリンが注がれるように何かを生み出そうと走り出し始める。すべてを諦めてさえいたならば、頑張らなくてもいいというのに、本があるから頑張ろうと思ってしまう。

 肺いっぱいに酸素を吸って、次の呼吸で吐ける限りは、目先の知的好奇心を満たさんために文字を紡ごう。生の踊り場で文字の通りに踊ろ踊ろと生きようと、本があるから決意した。ここに立っている限り、私はその法則に則り、感謝の言葉をここにこうして届続けようと思う。心から「ありがとう」と。

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