新緑の葉が舞う場所で時を待つ  呼吸も時も流れはしない

 

 新緑の葉が舞う場所で時を待つ

 呼吸も時も流れはしない

 

 新緑が映える五月のこと。開けた公園で青々とした草の上で土の匂いやヒラヒラと舞う蝶々に囲まれ、新鮮な空気と引き換えに、都会の有害なガスが混ざった空気を肺の奥から押し出すように吐き出した。不思議なことに仕事もお金も友人もすべての感情は雨水を土が吸い込むように見えなくなった。

 それは焦げきったパンのカスのような色をしていた。確かなことだが、バランスを取り損なった人間はほぼ間違いなくこの色に染まってしまう。俗に言う地獄とやらに連行されるサインのようなものだ。人はこのサインに染まらぬように生きていく。地獄はとても怖いところだからだ。

 しかし、時に人はこのサインに染まりきってしまう。なぜなら人の意志に関わらず、人は焦げきったパンのようになってしまうからだ。連なった電車のように、前や後ろに進めても、敷かれたレールの上しか進めない。いやなら飛び降りるしかない。ただ、時に駅に着いて乗り換えることはできる。このタイミングを逃してはいけない。

 黒の渦から逃げるのだ。ここには、そこから離れる術がある。

 ここから、離れてはいけない。

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