朝やけを 背中に浴びて 家を出る  真一文字は 開かれない

 

 朝やけを 背中に浴びて 家を出る

 真一文字は 開かれない

 

 父は言葉の多い人間ではなかった。だが、四十年近く一つの会社に勤め、子供を育て、家族を養った。働くのは大変だし、なにより四十年も同じ仕事をしているのだ。私なら、とっくに嫌気が差して辞めてしまっている。しかし私は父の文句ひとつ聞いたことがなかった。

 私は大それた事件を起こしたことはなかったが、逆に定職へ就き、安心させてあげる、ということができていない。黙々と働く父とは反対に自由奔放、わがまま放題、やることは自分のやりたいことばかり。父の爪の垢でも煎じて飲まねばなるまいと思う。

 そんな私が今、こうして生きることができているのは父のおかげに他ならない。今後、直接伝えられるかどうかはわからない。恥ずかしいと、機会さえも逃してしまうから。もし恥ずかしさがなくなれば、たくさん伝えたいと思う。ありがとうって。

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