閉ざされた世界で聞こえてきた声二

   Photo by Jez Timms on Unsplash

 今はその感覚について書こうと思う。便宜上ここではそれのことを“彼”と呼ぶ。彼はまるで重い鉄球に繋がれた囚人のような生活を送っていた。普段は部屋の隅で天井の角をじっと見つめているような静かな品行に埋め尽くされている。それしか許されていないように見えるし、ただ単にそれが好きだ、ともとることができる。

 ただね、彼はそんなに静かな性格をしていなかったんだ。時に体を破壊的に動かし続けるし、かといえば急に電源を抜かれた電気機器のように地面に横たわっていることもある。彼を知っている人が、得体がしれない、と言っていたとしたらそれは素直な感想かもしれない。

 私自身も滅多に会うことはない。覚えている限りでいえば、彼に会うのは初めてだった。

そしてそれは突然なことではない。圧倒的なお膳立てと心の準備、そして限られた条件の中でのみ彼は現れる。時に彼をゆうに召喚できる人を賢人や菩薩と呼んでいるのだろう。

とにかく、私は彼に出会った。彼はやはり重い鉄球に繋がれていて、とてもじゃないが私たちが普段暮らす世界に上ってこれることはない。なぜ彼は繋がれているのか、それはとても興味が惹かれるテーマかもしれないが、その前にまず彼がなんなのか、ここでその正体を晒しておこうと思う。

 彼は神だった。

最新情報をチェックしよう!