閉ざされた世界で聞こえてきた声六

   

 

 長方形と揶揄した部屋は私に一人で暮らすことの楽しさを教えてくれていた。部屋の真ん中で重心をとるように設置された炬燵と、部屋の操縦席のように窓の前を陣取るライティングデスク。そして最も異様なのが部屋の視界の四分の三を埋める『防音室』。その壁には『意志の力』と筆ペンの文字が貼り付けられている。

 中には机と椅子、そして天井からはスピーカーが吊されていた。夏場のことは考えられずに作られた手作りの防音室は畳一畳ほどのスペースで、コードを通すためのわずかな隙間を覗き、完全に密閉された空間だった。私は迷走していた。人生の半分を占めていた野球を終わった自分は、マンションの空き室を埋めるかのように奔走する。冬に作った防音室に私はカラオケマイクを持ち込み、大学に通う傍ら騒音だらけのオンラインゲームやカラオケをそこで楽しんでいた。

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