閉ざされた世界で聞こえてきた声十五

 その人は大阪にいた。私はこの時大学生で、神奈川にあるキャンパスに同地区内から原付バイクで通っていた。さすがに原付バイクでは大阪までの道は頼りない。

 すべては縁だと、縁があって手元にきた本には書かれていた。今回は縁がなかったのだろう。そう思った。

 私がSNSのページを閉じようとしたその瞬間、携帯電話の着信音が鳴った。

「今度みんなで九州の実家に帰るんだけど、お前もいく?」

 母からだった。

「九州? いくいく。いつ?」

「三月の〇×日」

 ちょうど長すぎる春休みの最中だ。(大学生の長期休みは本当に長い。夏休みと冬休みが二回ずつあるくらいの感じ。もはや大学に行ってる時間の方が短い)

 これも縁だろうか。予定になかった西への旅行が決まり、話し合いの末、私は一人で九州までいくことになった。

 すべて導かれている。スピリチュアルにかぶれた私はこの一連の流れに運命的なものを感じずにはいられなかった。

 新しいなにかが始まろうとしている。そんな予感を感じさせながら、私は再びSNSのメッセージのページを開いた。

 今思えばこの時、ひとつでも首を横に振っていたとしたら、私は借金まみれの生活を送らなくてもすんだのかもしれない。そう思う。

最新情報をチェックしよう!