閉ざされた世界で聞こえてきた声十四

 オレンジ色のSNSの背景に白いメールのアイコンが浮かび上がるように画面の中で大きくなった。魔界への誘いである。

 メールには、最近書き連ねた日記への賞賛とスピリチュアルへの関心、意識への取り組みについて是非とも会って話がしたいと書かれていた。

 私はこのとき大学生だった。だからといってよくわからない人に会っていい、というわけではないが、この時私もちょうど自分がよくわからなかった。よくわからない者同士引き合うのかも知れない。引き寄せの法則だ。

 ただ私はこの状況が続くのが耐えがたかったし、なにより不安だった。捕まるロープを見つけないまま、果たして残りの人生を生きてけるのか。学生なんて人生のほんの一部であろう。そこから先、何があるのか。私はただただ横並びの生き方をしていい気がしなかった。とても不思議なことだが、皆がつかんだロープを持ち、前に進んでいる人たちはみな等しく、水中にいるかのごとく気泡を空へと打ち上げていた。

 そう、彼らは死んでいた。

 届いたメールは確かに魔界からきたものだろう。けどすでに自分がいるここはなんだと聞かれたら、「新しい魔界です」と答えなければなるまい。

 どっちにしても生き辛いには違いない。歩き続けよう、見つかるまで。この時私はこの道を歩き始めたのだと思う。

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