黒の竜月夜に羽ばたき空を飛ぶ  羽根を休める場所を探して

 

 黒の竜月夜に羽ばたき空を飛ぶ

 羽根を休める場所を探して

 

 飛びながら竜はその羽ばたきで人の首を刈りとる風を巻き起こし、肩を叩くような気軽さで物事を死へと追いやっていった。地の底から奇跡のような緑光が吹き出す中で、夜の闇へと光は吸い込まれていった。

 竜は光を避けるように空を飛び、陽が昇ると世界のどこでも見ることができなくなった。逆に日が沈めばどこからともなく現れ、気がつけば大地の光を殺ぐ風を吹き散らしてゆく。

竜はただ休もうと羽根を羽ばたかせるのだが、その度、なにかが犠牲となった。

 私に生きる意味などあるものか。

 自問自答の末、竜はその身を緑光が漏れる大地の切れ目へと投じる。意識を失い、しばし時が経った。気がつくと竜は陽の光の下にいた。

「消えていない・・・」

 初めてのことに竜は戸惑った。これまで陽が昇れば自分の身体は透明になり、意識が遠く、気がつけばまた夜がきていたからだ。

 初めての昼に竜は喜んだ。喜んで、走って走って走り回って、夜が来た。

 空を見ると黒い竜が飛んでいる。

 誰かが叫んだ。

「黒い竜だ! みんな逃げろ! 早く逃げろ!」

 黒い竜の風を浴びた竜の首が飛んだ。

 最後に見た黒い竜は、とても悪い顔をしていた。

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